沖縄の住宅はなぜRC造が多い?数字で見る構造の割合と台風・湿気・外壁の手入れ

数字で見る 沖縄の住まい

沖縄では、なぜコンクリートの家がこんなに多いのか。
国の統計や気象庁の平年値など、公的な数字をもとに、沖縄の住まいの特徴と手入れの考え方を見ていきます。

沖縄の住宅街を歩くと、平らな屋根のコンクリートの家が並んでいます。県外から移り住んだ方の中には、「どうして木造の家が少ないのだろう」と不思議に思った方もいるかもしれません。また、「コンクリートの家なら手入れはあまりいらないのでは」と考えている方もいるのではないでしょうか。

先にお答えすると、沖縄でRC造(鉄筋コンクリート造)の住宅が多いのは、戦後の米軍からの技術の移転に加え、台風やシロアリによって木造の住宅が大きな被害を受けたことが背景にあると、沖縄県の資料で説明されています。そして、コンクリートの家は丈夫な一方で、強い日差し、雨、潮風の中で外壁や屋上を守る手入れが欠かせません。

この記事では、統計や平年値などの数字を手がかりに、沖縄の住まいの特徴と、長く住むための手入れの考え方を整理します。

数字1:沖縄県の住宅の93.8%が鉄骨・鉄筋コンクリート造

総務省が5年ごとに行っている「住宅・土地統計調査」の令和5年(2023年)の結果を、沖縄県統計課がまとめた資料によると、住宅の構造別の割合は次のとおりです。

令和5年住宅・土地統計調査による住宅の構造別割合の比較図。沖縄県は鉄骨・鉄筋コンクリート造93.8%、木造3.5%、全国は木造54.0%、鉄骨・鉄筋コンクリート造36.6%
図解:合同会社アインツベルン作成(出典:沖縄県統計課「令和5年住宅・土地統計調査 結果の概要」)
構造沖縄県全国
木造3.5%54.0%
非木造(合計)96.5%46.0%
うち鉄骨・鉄筋コンクリート造93.8%36.6%
うち鉄骨造1.3%9.1%
うちその他(ブロック造を含む)1.4%0.2%

※沖縄県統計課「令和5年住宅・土地統計調査 結果の概要」より。共同住宅を含む住宅全体の割合です。

全国では住宅の半分以上が木造なのに対して、沖縄県では木造はわずか3.5%で、9割以上が鉄骨・鉄筋コンクリート造です。この数字は共同住宅も含んだものですが、一戸建てが多い住宅地でも、コンクリートの家が並ぶ風景は沖縄ならではのものといえます。

なぜRC造が多いのか|沖縄県の資料が示す3つの背景

沖縄県の住宅の省エネルギーに関する資料では、沖縄の住宅が戦前は木造中心だったこと、そして戦後、次のような理由から、ほとんどの住宅がRC造を中心とした非木造になったことが説明されています。

米軍からの技術移転戦後、米軍の施設づくりを通じて、コンクリートで建物をつくる技術が広まりました。
台風による被害戦後に建てられた応急的な規格住宅は、台風で大きな被害を受けました。
シロアリによる被害温暖な気候の沖縄では、シロアリによる木材の被害も大きな問題でした。

台風に強く、シロアリの心配が少ない住まいを求めて、コンクリートの家が広まっていったという流れです。平らな屋根(陸屋根)が多いのも、コンクリートでつくる家の特徴の一つで、屋上を物干しや貯水タンクの置き場として使う暮らし方にもつながっています。

数字2:台風の接近は年間7.7個、最も多いのは8月

RC造が選ばれてきた大きな理由である台風について、気象庁の平年値(1991〜2020年)を見てみましょう。

月5月6月7月8月9月10月11月
沖縄地方への接近数(平年値)0.40.61.52.21.91.10.3

※気象庁「台風の平年値」より。年間の平年値は7.7個。4月は0.0、12月は0.0、1〜3月は値なし。「接近」は、沖縄の気象官署のいずれかから300km以内に台風の中心が入ることをいいます。端数処理のため、月の合計と年間の値は一致しません。

1年に平均7〜8個の台風が近づくということは、家の外まわりが毎年のように強い風雨にさらされているということです。コンクリートの躯体は風に強い一方で、外壁の塗膜やシーリング、屋上の防水層は、横なぐりの雨や飛ばされてきた物によって傷むことがあります。台風への備えについては、台風に備える住まいづくりでも紹介しています。

数字3:那覇の年間の平均湿度73%、年間降水量2,161.0mm

沖縄の住まいにとって、台風と並んで大きな影響があるのが湿気と雨です。気象庁の那覇の平年値(1991〜2020年)では、年間の平均相対湿度は73%、年間降水量は2,161.0mmです。

湿度が高く、雨の多い環境では、外壁が乾きにくく、北側の壁や日陰になる場所にカビやコケが出やすくなります。また、塗膜が劣化して水を吸いやすくなったコンクリートは、さらに乾きにくくなります。外壁のカビ・コケと湿度の関係は、外壁のカビ・コケが沖縄で出やすい理由と対策で詳しく解説しています。

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数字4:鉄筋を守るコンクリートの厚み「かぶり厚さ」

RC造の家の丈夫さは、コンクリートの中にある鉄筋と、そのまわりのコンクリートが一体になってはたらくことで成り立っています。鉄筋の表面から、コンクリートの表面までの厚みを「かぶり厚さ」といい、建築基準法施行令第79条で最低限の厚さが決められています。

部位かぶり厚さ(最低限)
耐力壁以外の壁、床2cm以上
耐力壁、柱、はり3cm以上
直接土に接する壁・柱・床・はり、布基礎の立上り部分4cm以上
基礎(立上り部分を除く)6cm以上

※建築基準法施行令第79条より。大臣が定めた構造方法などによる例外があります。

鉄筋は、コンクリートのアルカリ性に守られて、さびにくい状態に保たれています。しかし、年月とともにコンクリートの表面から「中性化」が進んだり、塩分が入り込んだりすると、鉄筋はさびやすくなります。国土交通省の長期優良住宅化リフォームの評価基準の資料でも、中性化が進むと鉄筋の防錆性が失われること、塩化物イオンの量が多いと中性化していなくても腐食しやすいことが示されています。

数cmのコンクリートが、鉄筋を守る壁になっているわけです。外壁の塗膜は、そのコンクリートを雨や塩分から守る、さらに外側の守りといえます。

数字5:1975年ごろの建物に見られる「海砂」の問題

沖縄県の老朽化マンションの調査に関する資料では、1975(昭和50)年ごろに建てられた建物の中に、除塩が不十分な海砂を使ったコンクリートが原因で鉄筋の腐食が進んでいるものがあることが指摘されています。また、海に囲まれた沖縄では、コンクリートのひび割れから入り込んだ飛来塩分によって、鉄筋の腐食やコンクリートの剥離・剥落が起こりやすいことも書かれています。

築年数の古いコンクリートの家で、外壁にさび汁や欠け、ふくらみが見られる場合は、塗装だけで済ませず、下地の状態を確かめることが大切です。ひび割れの種類と補修の考え方は、外壁のクラック(ひび割れ)補修とは?をご覧ください。

数字から見えてくる、コンクリートの家の手入れの考え方

数字が示すこと家への影響手入れの考え方
台風の接近は年間7.7個(平年値)外壁や屋上が強い風雨にさらされる台風の前後に外壁・屋上・排水口を見回す。シーリングやひび割れを早めに補修
那覇の平均湿度73%、降水量2,161.0mm(平年値)外壁が乾きにくく、カビ・コケが出やすい塗膜の防水性を保つ。排水や風通しの見直し
かぶり厚さは数cmひび割れから水や塩分が入ると鉄筋に届きやすいひび割れを放置しない。塗膜で表面を守る
1975年ごろの建物の海砂の問題内部から鉄筋の腐食が進んでいる場合があるさび汁・欠けがあれば下地から補修

コンクリートの家は「手入れがいらない家」ではなく、「手入れをすれば長く住める家」です。外壁の塗膜、シーリング、屋上の防水層という外側の守りを保つことが、中のコンクリートと鉄筋を守ることにつながります。

RC造の家で、定期的に見ておきたい場所

  • 外壁:チョーキング(白い粉)、ひび割れ、さび汁、塗膜のふくれ・はがれ
  • 屋上:防水層のひび・ふくれ、排水口の詰まり、水たまり
  • ベランダ・手すり:手すりの根元のひびやさび、床の防水の傷み
  • 窓まわり:シーリングのひび割れ・すき間、窓の角から伸びるひび
  • 室内:天井や壁のしみ、カビ、クロスのはがれ

季節の変わり目や台風のあとに、家のまわりを一周する習慣をつけると、小さな変化に気づきやすくなります。塗料の種類や塗り替えの考え方は、外壁塗料の種類を用語で解説もあわせてご覧ください。

合同会社アインツベルンの考え方

合同会社アインツベルンは中城村を拠点に、沖縄本島全域で、外壁塗装・塗り替え、屋上防水・シーリング、クラック補修、防音工事を行っています。沖縄の住まいの多くを占めるコンクリートの家を、外側から守る工事を中心にしています。

  • 現地調査・お見積もり無料:塗膜だけでなく、ひび割れやさび汁、屋上の防水層など、コンクリートを守る外側の状態を確認します。
  • 自社施工:外注に出さず、自社で施工します。
  • 工事内容に応じた保証:工事の内容に合わせた保証をお付けしています。
  • 丁寧な施工:下地処理など、仕上がると見えなくなる工程も丁寧に行います。

沖縄のRC住宅についてよくある質問

沖縄で木造の家を建てる人は少ないのですか?
令和5年住宅・土地統計調査では、沖縄県の住宅のうち木造は3.5%です。近年は木造の住宅も見られますが、割合としては全国と比べて大きく少ない状況です。
コンクリートの家は何もしなくても長持ちしますか?
コンクリートの躯体は丈夫ですが、ひび割れから水や塩分が入ると、中の鉄筋がさびて傷みが進むことがあります。外壁の塗膜や屋上の防水を保つ手入れが大切です。
古いRC造の家でも、外壁塗装で直せますか?
塗膜の劣化が中心であれば、補修と塗装で対応できることが多いです。さび汁や欠けがある場合は、下地の補修が必要になります。現地で状態を確認してご説明します。
RC造の家は、どこから傷みやすいですか?
雨水がたまりやすい屋上、窓まわりのシーリング、ひび割れの入りやすい開口部の角、ベランダの手すりの根元などが、傷みが出やすい場所です。
相談だけでも大丈夫ですか?
はい。沖縄本島全域が対応エリアで、現地調査・お見積もりは無料です。すぐに工事が必要ない場合は、そのようにお伝えします。

RC造の家と木造の家|外まわりの手入れの違い

県外で木造の家に住んでいた方が沖縄のコンクリートの家に住むと、手入れの勘どころが少し違うことに気づくかもしれません。一般的な傾向を比べてみます。

比べる点RC造の家(沖縄に多い)木造の家(全国に多い)
屋根平らな陸屋根が多く、屋上の防水層で雨を防ぐ勾配のある屋根が多く、瓦やスレートなどで雨を流す
外壁コンクリートに直接塗装した仕上げが多いサイディングやモルタルなどの外壁材が多い
傷みのサインひび割れ、さび汁、コンクリートの欠け、屋上の水たまり外壁材の反り、目地のすき間、木部の腐れ
注意したい害鉄筋のさび(塩分・中性化)雨水による木材の腐れ、シロアリ
手入れの中心外壁の塗膜、ひび割れ補修、シーリング、屋上防水外壁材と目地、屋根材、木部の保護

RC造の家では、「水と塩分をコンクリートの中に入れないこと」が手入れの中心になります。特に屋上は、勾配のある屋根と違って雨水がたまりやすいため、防水層と排水口の状態を見ておくことが大切です。

住まいの年数ごとに、意識しておきたいこと

同じRC造でも、建ててからの年数や、これまでの手入れの状況によって、見ておきたいポイントは変わります。年数はあくまで目安で、立地や使っている材料によって前後します。

新しい家台風のあとに外壁や屋上を見回す習慣をつける。気になる変化は写真で記録しておく。
最初の塗り替えを考える頃チョーキングや細かなひび、シーリングの傷みが出てきたら、塗り替えの計画を始める。
何度か手を入れてきた家以前の工事の内容(塗料・防水の種類)を記録しておくと、次の工事の計画が立てやすい。
築年数の長い家さび汁や欠け、屋上のふくれなど、下地の傷みがないかを重点的に確認する。

どの段階でも大切なのは、「傷みが小さいうちに気づくこと」です。小さなひび割れや部分的な防水の傷みのうちに手を打てば、工事の規模を抑えやすくなります。

数字を「わが家の記録」にも生かす

統計や平年値の数字は、沖縄の住まい全体の傾向を教えてくれます。あわせて、ご自宅の数字も記録しておくと、手入れの計画が立てやすくなります。たとえば、建てた年、前回の外壁塗装や屋上防水の年と使った材料、台風のあとに気づいた変化などです。こうした記録があると、次に工事を考えるときに、どこを重点的に見ればよいかがはっきりし、業者への相談もスムーズになります。

まとめ|数字が教えてくれる、沖縄の家の守り方

沖縄県の住宅の93.8%が鉄骨・鉄筋コンクリート造という数字は、台風やシロアリと向き合ってきた沖縄の住まいの歴史を物語っています。そして、年間7.7個の台風の接近、高い湿度と多い雨という数字は、その家が毎年どんな環境にさらされているかを教えてくれます。

コンクリートの家を長く守るためには、外壁の塗膜、シーリング、屋上の防水という「外側の守り」を保つことが大切です。秋から冬にかけての落ち着いた季節に、一度家のまわりをゆっくり見回してみてはいかがでしょうか。

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参考資料:沖縄県統計課「令和5年住宅・土地統計調査 結果の概要」(https://www.pref.okinawa.jp/toukeika/juutaku/2023/gaiyou.pdf)/沖縄県 住宅の省エネルギーに関する資料(https://www.pref.okinawa.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/013/437/syouenegaidorainngaiyou2.pdf)/気象庁「台風の平年値」(https://www.data.jma.go.jp/yoho/typhoon/statistics/average/average.html)/気象庁「平年値(年・月ごとの値)那覇」(https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_sfc_ym.php?prec_no=91&block_no=47936)/建築基準法施行令第79条(https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338)/国土交通省 長期優良住宅化リフォーム 評価基準抜粋(https://r07.choki-reform.mlit.go.jp/qa/faq/qa_img/11.pdf)/沖縄県「第4章 老朽化マンションの調査」(https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/012/296/4.pdf)
文:合同会社アインツベルン