天井に雨染みが出た。台風のたびに同じ場所から水が落ちてくる。
平らな屋根(陸屋根)の雨漏りの原因を、浸入口ごとに整理しました。
陸屋根(ろくやね・りくやね)の家で雨漏りが起きたとき、「どこから水が入っているのか」がわからず不安になる方は多いと思います。結論から言うと、陸屋根の雨漏りの原因は、①防水層の劣化、②排水口(ドレン)の詰まり・劣化、③立ち上がり部分の防水の切れ、④笠木(かさぎ)の継ぎ目、⑤パラペットや外壁のひび割れ、⑥設備の架台まわり、⑦配管などの貫通部の7つに大きく分けられます。原因によって対策がまったく違うため、まず水の入り口を突き止めることが大切です。
沖縄の一戸建てには、鉄筋コンクリート(RC)造で屋根が平らな陸屋根の住まいが多くあります。この記事では、陸屋根の雨漏りの原因と対策を、浸入口ごとに整理して解説します。
陸屋根とは|沖縄のRC住宅に多い平らな屋根
陸屋根は、傾きがほとんどない平らな屋根のことです。屋上として洗濯物を干したり、太陽光発電や給湯器などの設備を置いたりできるのが利点です。一方で、勾配のある屋根に比べて雨水が流れにくく、屋根の上に水がとどまりやすいという特徴があります。
そのため陸屋根では、コンクリートの上に「防水層」をつくり、わずかな水勾配をつけて排水口(ドレン)へ水を集める仕組みになっています。雨漏りを防いでいるのは、コンクリートそのものではなく、この防水層と排水の仕組みです。防水層が傷んだり、排水がうまくいかなくなったりすると、雨水がコンクリートのひび割れなどから室内側へ入り込みます。
気象庁の平年値(1991〜2020年)では、那覇の年間降水量は2,161.0mm、沖縄地方への台風の接近数は年間7.7個です。雨が多く、台風の強い雨風を受ける沖縄では、陸屋根の防水と排水の手入れが住まいを守るうえで特に大切になります。
陸屋根の雨漏りの原因|7つの浸入口
| 浸入口 | よくある原因 | 見た目のサイン | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| ①防水層(平場) | 紫外線や熱による劣化、ひび割れ、ふくれ、剥がれ | 表面のひび、ふくれ、色あせ、トップコートのはがれ | 部分補修、トップコートの塗り替え、防水層の改修 |
| ②排水口(ドレン) | 落ち葉・土・ごみの詰まり、ドレンまわりの防水の劣化 | 雨のあとに水たまりが残る、ドレンまわりのひび | 清掃、ドレンまわりの防水補修、改修用ドレンの設置 |
| ③立ち上がり | 床と壁の境目の防水の切れ、端部の剥がれ | 立ち上がりの端がめくれている、すき間がある | 端部の補修、立ち上がりを含めた防水改修 |
| ④笠木 | 笠木の継ぎ目のシーリングの劣化、固定部の傷み | 継ぎ目のすき間、シーリングの割れ | シーリングの打ち替え、笠木まわりの防水処理 |
| ⑤パラペット・外壁のひび割れ | コンクリートの乾燥収縮、建物の動き | 屋上の囲いの壁や外壁のひび、錆汁 | ひび割れ補修、塗装による保護 |
| ⑥設備の架台まわり | 架台の固定部から防水層が傷む | 架台の足元のひび、防水層の切れ | 架台まわりの防水補修 |
| ⑦配管などの貫通部 | 配管と防水層のすき間、シーリングの劣化 | 配管の根元のすき間、シーリングの割れ | 貫通部の防水処理、シーリングの打ち替え |
原因ごとの詳しい解説と対策
原因1 防水層の劣化(平場)
屋上の床にあたる平らな部分(平場)の防水層は、毎日強い日差しと熱を受けています。時間がたつと、表面を守るトップコートがはがれ、防水層そのものにひび割れやふくれが出てきます。初期の段階であれば、トップコートの塗り替えや部分補修で対応できることもありますが、防水層全体が傷んでいる場合は、防水層の改修(新しい防水層をつくる工事)が必要になります。
原因2 排水口(ドレン)の詰まり・劣化
ドレンが落ち葉や土で詰まると、屋上に水がたまり、防水層の弱い部分から水が入りやすくなります。また、ドレンのまわりは防水層の継ぎ目になるため、劣化が起こりやすい場所です。まずは清掃で詰まりを取り除き、ドレンまわりにひびやすき間がないかを確認します。ドレンそのものが傷んでいる場合は、既存のドレンに差し込むかたちの改修用ドレンを使う方法もあります。
原因3 立ち上がり部分の防水の切れ
立ち上がりは、屋上の床から囲いの壁(パラペット)に向かって防水層を立ち上げた部分です。床と壁の境目は建物の動きの影響を受けやすく、防水層が切れたり、端の部分がめくれたりすることがあります。端部から水が入ると、防水層の裏側に水が回り込み、離れた場所に雨漏りが出ることもあります。
原因4 笠木の継ぎ目
笠木は、パラペットや手すり壁の上にかぶせる仕上げ材です。金属製の笠木の場合、継ぎ目のシーリングが劣化すると、そこから雨水が入り、壁の内部を伝って室内に達することがあります。笠木まわりの雨漏りは、天井ではなく壁の上のほうにしみが出ることが多いのが特徴です。
原因5 パラペットや外壁のひび割れ
屋上の囲いの壁や、屋根に近い外壁のひび割れから水が入り、雨漏りになることもあります。コンクリートのひび割れは、放置すると内部の鉄筋が錆びて爆裂につながることもあるため、早めの補修が大切です。ひび割れの補修方法は外壁のクラック(ひび割れ)補修とは?で解説しています。
原因6 設備の架台まわり
給湯器、太陽光発電、貯水タンクなどの設備を屋上に置く場合、架台をコンクリートに固定する部分で防水層が傷みやすくなります。台風の強い風で設備が揺れ、固定部にすき間ができることもあります。設備を後から設置した場合は、その固定部の防水処理がどうなっているかを確認しておきたいところです。
原因7 配管などの貫通部
配管や電線が屋上の床や壁を通っている部分は、防水層に穴があいている状態です。まわりをシーリングや防水材でふさいでいますが、劣化するとすき間から水が入ります。小さな部分ですが、雨漏りの原因として見落とされやすい場所です。シーリングの劣化や施工の注意点は外壁シーリングの打ち替えでよくある失敗7つでも紹介しています。
雨漏りの入り口は、室内のしみの位置と離れていることもあります。
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雨漏りの原因を突き止めるための確認方法
雨漏りは、水が入った場所と、室内にしみが出る場所が一致しないことがよくあります。防水層の裏側やコンクリートの中を水が伝って、離れた場所に出てくるためです。原因を突き止めるには、次のような確認を組み合わせます。
- 室内のしみの位置と、雨の降り方を記録する:どんな雨(強い雨、長雨、横なぐりの雨)のときに、どこに出るかをメモします。
- 屋上の目視点検:防水層、ドレン、立ち上がり、笠木、設備まわり、貫通部を順番に確認します。
- 打診や触診:防水層のふくれや浮き、コンクリートの空洞を確認します。
- 散水調査:疑わしい場所に水をかけて、室内に水が出るかを確かめる方法です。時間はかかりますが、原因を絞り込むのに役立ちます。
雨漏りを放置するとどうなるか
陸屋根の雨漏りは、天井のしみが小さいうちは「様子を見よう」と考えがちです。しかし、目に見えるしみは、建物の中で起きていることのほんの一部であることが少なくありません。放置すると、次のような影響が出ることがあります。
| 影響が出る場所 | 起こりうること |
|---|---|
| 天井・内装 | しみが広がる、クロスがはがれる、天井材がたわむ・落ちる |
| 断熱材・天井裏 | 濡れた断熱材が乾きにくく、カビや湿気の原因になる |
| コンクリート・鉄筋 | 内部に水が入り続けると、鉄筋が錆びて爆裂につながることがある |
| 電気設備 | 照明器具や配線の近くに水が回ると、漏電などの心配が出る |
| 工事の規模 | 被害が広がるほど、防水だけでなく内装や構造の補修も必要になる |
とくにRC造の住まいでは、コンクリートの中に入った水が乾くまでに時間がかかり、雨が止んだあとも数日たってからしみが出ることがあります。雨漏りに気づいたら、小さなうちに原因を確認することが、結果として補修の範囲を小さくすることにつながります。
雨漏りを防ぐための、ふだんの手入れ
- ドレンの掃除:落ち葉や砂がたまりやすい季節や、台風のあとに確認します。詰まりの解消は、ご自身でもできる効果の大きい手入れです。
- 屋上に物を置きすぎない:重い物を長く置くと、防水層を傷めることがあります。物を移動するときに引きずらないようにしましょう。
- トップコートの定期的な塗り替え:防水層を紫外線から守るトップコートは、防水層より早く傷みます。早めに塗り替えることで、防水層を長持ちさせやすくなります。
- 設備を後から置くときは相談する:給湯器や太陽光発電などを新しく設置する場合は、固定部の防水処理を事前に確認しておくと安心です。
防水の考え方は外壁リフォームで大切な「防水対策」についてでも紹介しています。
陸屋根の防水工法の種類と選び方
防水層の改修が必要になった場合、主な工法には次のようなものがあります。既存の防水層の種類や状態、屋上の使い方によって選びます。
| 工法 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ウレタン塗膜防水 | 液状の材料を塗り重ねて防水層をつくる。継ぎ目のない仕上がりになる | 形が複雑な屋上、設備や配管が多い屋上 |
| シート防水 | 塩化ビニルなどのシートを貼って防水層をつくる。厚みが均一になりやすい | 広くて形が単純な屋上 |
| FRP防水 | ガラス繊維で補強した樹脂で、硬く丈夫な防水層をつくる | ベランダなど比較的狭い場所 |
| アスファルト防水 | アスファルトを含むシートを重ねて防水層をつくる。厚みがあり耐久性が高い | 大きな建物の屋上など |
既存の防水層を撤去せずに、その上から新しい防水層をつくる「かぶせ工法」が選ばれることもあります。ただし、既存の防水層の下に水が入っている場合は、湿気を逃がすための工夫(通気緩衝シートや脱気筒など)が必要になります。
台風の前に確認したい、陸屋根のチェックポイント
屋上の点検は、足元が滑りやすく、端に近づくと危険です。無理をせず、安全に確認できる範囲にとどめてください。台風への備え全般は、台風に備える住まいづくりでもまとめています。
雨漏りが起きたときに、まずできること
- 室内の被害を広げない:しみの下にバケツやタオルを置き、家具や家電を移動させます。電気設備の近くで水が出ている場合は、特に注意してください。
- 写真と記録を残す:しみの位置、広がり、雨の降り方、日時を記録しておくと、原因を探す手がかりになります。
- 屋上のドレンを確認する:安全に上がれる場合は、ドレンが詰まっていないか見てみましょう。詰まりを取り除くだけで、水たまりが解消することもあります。
- 早めに相談する:雨漏りが続くと、天井の内部や断熱材、コンクリートの中の鉄筋にも影響が出ることがあります。
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合同会社アインツベルンは中城村を拠点に、沖縄本島全域で屋上防水・シーリング、外壁塗装・塗り替え、クラック補修、防音工事を行っています。
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当社の取り組みは5つの安心ポイントでもご紹介しています。
よくある質問
- 雨漏りしている場所の真上に原因がありますか?
- 真上にあるとは限りません。防水層の裏側やコンクリートの中を水が伝って、離れた場所に出ることがあります。屋上全体を確認して原因を絞り込みます。
- 防水層の一部だけを補修することはできますか?
- 原因が一か所に限られていて、ほかの部分の防水層がしっかりしていれば、部分補修で対応できることもあります。防水層全体が傷んでいる場合は、改修をおすすめすることがあります。
- トップコートの塗り替えだけで雨漏りは止まりますか?
- トップコートは防水層を紫外線から守る保護材で、防水層そのものではありません。すでに雨漏りしている場合は、防水層や排水口などの原因を確認する必要があります。
- 雨の日でも点検に来てもらえますか?
- 雨の日は、どこから水が入っているかを確認しやすい面もあります。ただし、屋上での作業は安全を優先して判断します。日程はご相談ください。
- ベランダの雨漏りも、陸屋根と同じ原因ですか?
- ベランダも床に防水層があり、排水口、立ち上がり、手すり壁の笠木など、陸屋根と共通する浸入口が多くあります。ただし、下が部屋かどうかや防水の種類によって確認する点が変わるため、現地で状態を見て判断します。
- 防水工事は何日くらいかかりますか?
- 屋上の広さ、工法、下地の状態によって変わります。材料の乾燥が必要なため、雨の日が続くと工期が延びることもあります。
そのほかのご質問はよくある質問のページもご覧ください。
まとめ|原因を浸入口ごとに分けて考える
陸屋根の雨漏りは、防水層、排水口、立ち上がり、笠木、パラペットや外壁のひび割れ、設備の架台まわり、配管の貫通部という7つの浸入口に分けて考えると、原因を整理しやすくなります。原因によって対策がまったく違うため、まず水の入り口を突き止めることが大切です。
当社の屋上防水・シーリング工事の内容は、「沖縄の屋上防水・シーリング工事」のページにまとめています。
雨の多い沖縄では、陸屋根の防水と排水の手入れが住まいを長持ちさせる鍵になります。雨漏りに気づいたら、写真と記録を残し、早めに点検を受けるようにしましょう。ふだんからドレンの掃除や台風前の見回りを続けておくことも、雨漏りを防ぐ確かな一歩になります。
参考資料:気象庁「平年値(年・月ごとの値)那覇」(https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_sfc_ym.php?prec_no=91&block_no=47936)/気象庁「台風の平年値」(https://www.data.jma.go.jp/yoho/typhoon/statistics/average/average.html)/国土交通省「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)」(防水改修工事)
文:合同会社アインツベルン